前回、「教育委員会のありかたを変えなくてはならない」と最後にちょっとだけ述べたが、もう少し踏み込んで考えたい。5月10日の読売新聞2ページのある記事に、以下のような文章があったので引用したい。
『教育委員会は戦後、中立・専門的に教育行政を行うため、首長から独立した行政委員会として都道府県、市町村に設置されたが、「事実上、文部科学省の下請け組織になっている」との指摘も出ている』(引用終わり)
例えば、公立高校を所管する都道府県の教育委員会は事務局が県庁によって運営され、県庁は文部科学省の指示や通達を頻繁に受けている。都道府県知事から独立した形をとってはいるが、現実は行政組織であり、文部科学省の影響下にあるという指摘は的を得ている。
私は、義務教育の小中6年間は、市町村の教育委員会が学校間の連携をしっかりとって、基礎学力を徹底的に身につける環境を整えてほしいと思うが、高校は、学校ごとに多様な教育を進めてほしいと考えている。例えば長野県内は公立の高校が100ほどある。学校ごとに権限をあたえ、連携するべきところは市町村の教育委員会が担えばよいと思う。県教委の機能はほとんどなくてもいいと思っている。学校ごとに独自の教育色をうちたて、市町村の教育委員会が連携や支援を行えば良いと思う。そうすると学校、特に学校長には大きな責任がのしかかる。今のように異動で交代が多い体制では、学校長に大きな裁量を持たせることは無理だと思う。学校ごとの独自色は校長1人1人に拠るのではなく、市町村の教育員会が支えていけばいいと思う。
上の読売新聞の記事は、中曽根康弘氏が会長を務める公益財団法人「世界平和研究所」が5月9日に発表した教育改革試案を紹介する記事だった。世界平和研究所が発表した教育改革試案の骨子は以下のリンクからみることができる。
http://www.iips.org/2011kyoiku/2011kyoikugaiyo.pdf
教育委員会を都道府県や市町村の首長を補佐する機関に再編することは賛成できないし、他にも賛成できないことは多いが、自治体が創意工夫と責任をもって教育を行う体制を作らなければいけないという問題意識は同じだ。また、教職員の採用に社会人経験者を積極登用するべきだという考えも同じである。
「教育県」と呼ばれる地元長野県が、公立改革の最先端を走るべきだと思っている。