私がボランティアにいった岩手県大槌町は
町長が津波で流され、その後遺体で見つかったことが大きなニュースになった町だ。
被災した役場にかわって作られたプレハブ棟の役場で私は「地域整備課」を手伝った。
地域整備課は、元々いた職員の多くが亡くなったり行方が分からなくなってしまったという。一命を取りとめて不休で働く職員。風呂にも入れない日が続いていると話していた。また、被災した職員にかわって他の部署から配属された職員も、仮設住宅の建設やがれきの撤去にむけて必死で働いていた。仮設住宅は一刻の猶予も許されない。また、がれきは大槌町だけで手に負える量では到底ない。しかし町ががれきの処理を進めないと、訳のわからない業者が、車などを勝手に持ち出そうとして、職員はその対応にも追われていた。休みなく働く職員の姿は、今ブログを書きながら思いだしても目頭が熱くなる。
5月23日信濃毎日新聞朝刊(25ページ)に、大槌町は副町長の任期も6月で切れるという記事があった。被災地は選挙をできる状況ではないというのは全国的に異論のない意見であり、実際、統一地方選(4月)は東北の多くの被災地で延期された。大槌町については、1日も早く町長選挙をして欲しいと思っている。リーダが不在の中で懸命に働く職員。職員の声を尊重してバックアップする上司。みんな目の前のやるべきことをやっている。しかし大黒柱がいない。未来が見通せずにいる。
役場でボランティアをしたとき、私が電話をかけたある女性の被災者がいた。その女性は、仮設住宅の申し込みが大槌町より早く始まった隣町の釜石市に申し込みをしていた。大槌町で仮設住宅提供のメドがたったことを伝えると、
「私たち、希望をもっていいんですか!」と電話のむこうの声が急に大きくなった。
希望を持ちたいという願いがその声には込められていた。
不安ばかりの町の人たち、そして目の前の仕事に必死で取り組む役場の人たちの支えが必要だ。希望の星となる新しいリーダーを早く決めて欲しい。今の状況で選挙をすることは大変だと思う。でも、希望の光を町民みんなで生みだして欲しい。わずかな時間だったが大槌町でボランティアをした1人として、大槌町の希望が拓けるニュースを心待ちにしている。