(4月20日朝日新聞朝刊より引用)
今国会で、もめにもめた0増5減法案が19日、衆議院の委員会で可決された。上の写真で、座っている左側が私だ。私の所属する、選挙制度改革を担当する委員会で、議論が行われた。新聞やTVをみると「0増5減法案はさっさと通過させるべきだ」との論調がほとんどだったが、私は反対した。以下反対の理由を書く。
①3月から4月にかけて各地の高等裁判所で、去年の12月総選挙が無効や違憲であるとの判決が相次いだ。判決の中には0増5減法案のことを、「格差是正とは到底言い難い」と断じる判決もあった。与党は、「前々回の衆院選を違憲とした平成23年最高裁判決にまず対応する必要があり、11月の段階では、みんなの党も賛成しただろう」というが、3月4月の、15件に上った無効・違憲判決をみれば、司法の通告がさらに厳しいものになっていることは明白だ。
②1票の格差を、3年前の国勢調査を元にして、かろうじて2倍を切っただけで、「憲政史上初めて2倍を切った」と自賛されても、すでに最新の調査では2倍を超えている選挙区が多く存在し、実態が伴っていない。
③1票の格差是正は、民主が対案を、維新とみんなの党も対案をまとめているにも関わらず、野党案は審議すらせず、採決を強行する与党のやり方には強く抗議したい。1票の格差是正の議論は、去年も与党のみの審議が多かった。与党のみの議論など、その内容はたかが知れていて、国会での議論は尽くされていない。
④「選挙制度は抜本改革が必要だ」と、全ての政党が言っている。だから、たとえば維新の会は、抜本改革の期限を明示しろと強行に主張してきた。与党は、抜本改革をやるとはいっているが、具体的な段取りの話がまったくついていない。
新聞やTV、世論が0増5減法案を通すべきとの論調によっているのは、その後すぐに抜本改革をしろということがセットになっている。抜本改革の話を抜きにして、みせかけの数字合わせだけで終わらせてしまえば、政権への期待は大きな失望へ変わるだろう。
3月25日に広島高裁で無効判決が出てからまだ1ヶ月もたっていない。にも関わらず、その重みを受け止めようという姿勢は、私が質問・討論を行った19日の委員会で感じることはできなかった。「無効判決も大事だが、これまでの議論、これまでの流れが大事だ」と言わんばかりの答弁がほとんどだった。もう一度無効判決の重みを受け止めて、今後の議論を考えなければいけない。
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