昨日の産経新聞に「あっ!」と思う記事をみつけたので紹介したい。
「2050年展望 居住地域、2割無人化 総人口25%減 過疎化進む
国土交通省は21日、過疎化や人口減少がこのまま続いた場合、2050(平成62)年には、日本の総人口が05年に比べて25%超減り、人が住んでいた国土の約20%で、住民がいなくなるとの推計を公表した。過疎化が進む地域では人口減少率が平均で61%と、全国平均(26%)を大幅に上回っており、都市部だけに人口が集中し、それ以外では減るという現象が極端に進むことになる。(以下略)」(産経新聞インターネットより)
2050年といえば私は72歳だ。国土の20%で住民がいなくなった日本がどうなっているか不安で仕方がない。実は1月にも同じようなショックを受けた記事があった。TPP(環太平洋連携協定)推進派の竹中平蔵慶大教授が次のように語っているの。記事の前半は割愛するから要旨を紹介するが、前半は、自由貿易の推進とともに国内農業の強化をどう図るかという問題で、竹中氏は農業の集約化、大規模化を進めるべきだと主張している。そして、そうした競争に不利な山間地の集落について問われた竹中氏は以下のような発言をした。
『―山間地など、競争に不利な集落の農業はどうなるか。
「日本の人口はこれからどんどん減る。私の出身地の和歌山県でも人口は今後20年間で20%減り、長野県も同様だろう。そのとき、今の集落をそのまま維持することはできない。申し訳ないが補助金を出すので山間地の人は都市に移ってください、という国土政策に転換するだろう」
―住む人には割り切れない思いもあると思うが。
「誰しも心和む、のどかな集落は消したくない。だが、そこを維持するために日本経済全体が沈もうとしているならどうするのか。最低限の文化的、健康的な国民生活を守るには、住まいを移転したり、農業を続けられない地域が別のことに取り組んだりすることも必要だ」(以下略)』(1月13日信濃毎日新聞朝刊より)
産経新聞の記事は、2050年には極端な都市化と過疎地の人口が0人になるところが多くなるという結果の予想を示している。一方竹中氏は、そうした予想を踏まえて都市化が国土政策になると言っている。私は、2つの記事が示すような日本の将来像を受け入れたくない。国土の狭い日本がさらに自ら国土を狭めるようなことをしていたら、100年200年先をみた時に、国力を著しく落とすのではないかと思う。狭い国土だからこそ、すべてを有効に使うべきだと思っている。大都市集中化は数十年先の国力は守るかもしれないが、その先が見えないと思う。
悲観的な予想に対しては今から危機感をもって望むしかない。農業ならどうするか。自然豊かな田園風景を守りたい。それには農業の参入者をふやすことが大切だ。農地法の改正をはじめとする規制緩和が必要だ。民主党が減反とセットでやっている戸別補償制度には反対。減反は廃止する。減反をやめて生産量を増やす。品質の高さを売りに海外への輸出を行う。生産規模の拡大とともに高品質が農業のカギだと思っている。規模拡大が難しい山間地も品質、つまりブランド化に活路が見出せると思う。就農者が夢を持てる農政をしなければならない。荒廃した農地が減って豊かな田園風景が広がれば、都会にはない田舎の魅力に惹かれる人も多いと思う。
もう1つ、地方に人を呼ぶ方法は、前にも言ったかもしれないが教育だと思っている。首都圏への人口集中は雇用の問題もあるが、私は学校の問題が大きいと思っている。魅力ある公立校を増やす。まずは信州が最先端教育地域になる。なぜ公立校なのか。それは授業料が安いからである。「長野の公立校は他とは違うぞ」と話題になれば、「子育ては信州で!」という合言葉がうまれる。市町村や都道府県が自由な教育施策をできるよう、権限と財源を国から移さないといけない。そして、教育委員会と学校と親が一体となって公立校の再生に取り組める環境づくりを政治が考えないといけない。