メディア各社が行う世論調査が限界にきていると感じる。
最近の新聞の世論調査は、コンピューターで無作為に発生させた電話番号に電話をかけて、有権者のいる世帯にかかれば調査協力を依頼し、回答を集める。NHKにいた時は対面聞き取り方式もあったが、主流は電話だ。
しかし、今はほとんどの人が携帯電話を持っている。電話に出る人は極端に減っている。田中秀征さんは、「家の電話に出て世論調査に答える人は退職者が多い」と言っていた。そうかもしれないなと思う。新聞の世論調査とインターネットの世論調査の結果が異なるという指摘はもう何年も言われ続けている。インターネットは、自由な発信の場であり、既存の大手メディアに疑問を持つ人が多い。年代でいえば若い人が多いという指摘もある。
こういったことを総合すると、新聞の世論調査は、世論の一部しかとらえていないのではないかという疑問が膨らむ。NHKにいた時、特に選挙で街頭アンケートを何度もやった。街頭アンケートは、数を集めればそれだけ統計的な価値が高まる。夜遅くまで、1人でも多くの方に答えてもらおうと粘った。足を棒にして集めた街頭アンケートが、NHK本社が行う世論調査と一致しない。でも、選挙の結果をみると街頭アンケートの方が結果に近かったことが何度もあった。
広い世論を反映できない調査が世論調査と言えるのか。メディアは世論調査の方法を考えなおす時期に来ていると思う。