こんばんは。もう10月ですね。前に、「自由な報道」を、上・中と書きました。
書き尽くしてしまった感がありましたが、何としても下を書かねばと思っていてようやく書きます。
前に『各社が特色を出すカギは、現場にいる記者の感性と云々』と書きました。
「記者の感性」とはなにか。私はそのひとつに「先入観をもたない」ことをあげます。
「これはこういうことだろう」と物事を決めてかかると、それ以外の情報が拾えなくなる。
質問をされる方だって、記者が聞かないことに親切にこたえる人はいない。
さらに大切だと思うのは、取材相手の人物像を相手の立場や評判から決めてかかると
相手から本音を引き出すことは難しい。
この、先入観をもたないということは「疑ってかかれ」ということでは決してありません。
私は、記者時代に尊敬する上司が口癖のように言っていた言葉を今も大切にしています。
それは「人を信用すること」・「騙すより騙される方がいい」ということです。
実際の取材はきれいごとではすまないのですが、
上司のおかげで私は
取材相手にカマをかけたり裏切ることはゼロではありませんがなかったと思っています。
報道各社の組織レベルにもこの話がはまります。
各社が独自の論調をする・自由な報道をするうえで先入観は大きな障害です。
ましてや前に再三のべたように、ある社が他社の論調を気にしてそれを先入観としてしまったら
自由な報道を放棄することにほかならない。
先入観をもたないことは、読者、視聴者がメディアをみるときにも当てはまる思います。
メディアについては多くの批判もありますが、高い信用があることも事実です。
読者や視聴者が、自身の考えでメディアを取捨選択することがメディアの発展への一番の近道です。
きょう、こんなことを書いたのは、記者をやめて選挙を戦い、ゆっくりした時間をもった今、
先入観を持たないことの大切さを痛感しているからです。
政治は人と人のつながりが最も大切な仕事です。
そして、関係する人が多いため色々な話が飛び交います。
選挙戦は勝利を目指して必死にやったわけですが、
ひとつのことに集中していると回りが見えにくくなります。
今頃になって、この夏の戦いで自分がいかに回りが見えていなかったのかが
少しずつですがわかってきました。
先入観をもたないことは簡単ではありませんが、
記者という仕事から私なりに得た教訓なので今後も大切にしていきます。
〈自由な報道 完〉