今年も各政党、政治家の政治資金収支報告書(前年分)が公開された。
政治資金収支は、
法律が守られているかどうかはもちろんだが、
国民の目からみて常識や道理にかなっているかどうか、
道義責任が大きく問われる。
道義的責任をまず世に問うのはメディアだ。
記者のころは公開された収支報告書を
目を皿のようにして問題点はないか調べていた。
様々な記事をみていると今年は、
電力会社・関係者から献金を受けていた政党、政治家が大きく取り上げられている。
電力会社はかつて「政治家と一体となって電力料金を値上げしている」と批判され
昭和49年に献金を自粛した。
しかし今も民主党は電力会社の労組から、自民党は経営者サイドから受け取っている。
どこの業界、会社、そして個人も、
自分たちの願いをかなえてくれそうな政治家を支援することは自然だと思う。
ただ、お金をめぐる人間関係に疑義をもたれないようにするには
政党や政治家が自分たちで普段から意識して、けじめをつけないといけない。
今回メディアが電力会社と政治家のつながりに注目するのは、
原発政策が推進されてきた一因として問題提起しているように感じる。
民主党も自民党も「政策決定に影響はない」とコメントしているが、
いまこのコメントを鵜呑みにする人は少ないだろう。
一般論の道義責任に話を戻すが
注意していただきたいことは、
記事による道義責任は各メディアによって様々だということだ。
例えばこれも一般論になるが
政治資金問題は、
政治家の大物ぶりによって報道のされ方が大きく変わる。
無名の議員の収支報告よりも有名な政治家の方が取材対象になりやすい。
また、社によって注目する政治家も異なる。
各社が一斉に報じる問題もあれば、
1社が報道しても他社が全く報道しないこともある。
1社が報道したことをきっかけに他社が追随して
話が大きくなることもある。
道義責任とは、記事をみた私たち1人1人が決めることである。