こんにちは。
佐久病院の高度救急分野の移転計画が進む中、病院が縮小した後の臼田のまちづくりを考えるワークショップ(住民のグループ討議)が本格化してきた。これまでは病院縮小に対する住民の不安や要望を出すことに主眼がおかれていたが、18日に開かれた3回目のワークショップでは、ワークショップできそうなことと、できないことがはっきりしてきた。簡単にいうと医師の数や病床数、それに診療科目の種類など、病院の再編計画に関わるところは、住民の意見でもいかんともしがたいということらしい。18日のワークショップでは市の臼田支所の方が、住民の意見で聞き入れられないものを1つ1つ説明した。佐久病院の機能分散は、佐久病院が臼田を超えて東信や県全体にかかる大きな役割を果たすようになった背景があるから仕方がないことかもしれない。しかし、住民側だって半ばすがる思いで出した意見もあった。だから、病院側のしかるべき人に説明をしてもらいたかった。願いがかなわない事実を告げられることは誰もが嫌なことだが、しかるべき人にはっきりいってもらった方が気持ちの整理がつく。要は筋を通すということだろう。18日の事務局の説明にがっかりした人は私だけではないと思う。私はこのことについて発言を控え、他の人も発言しなかった。だがそれは事務局の説明に納得したのではなく、様々な想いを飲み込んだというべきだろう。
さて結局、ワークショップで今後議題となりそうなテーマは市側の整理だと3つになる。1つは「福祉・医療のまちづくり」。これは存続する病院を中心に健康施設を作るとか、医療の学びの場を作るとか、まさに佐久病院を中心に「医のまち」をつくっていくこと。2つ目が「活力あるまちづくり」。これについては住民の不安が端的に出ている。ストレートに言えば、病院が小さくなれば交流人口が減り、まちがさびれてしまう不安。臼田が今後、どうやって人を呼び込み、にぎわいを守っていくかということだ。3つ目が「やさしいまちづくり」。これは病院の駐車場のあり方や老朽化が目立つ歩道の整備など環境面の課題だ。市側は、「活力」とか「やさしい」とかいう言葉で上手く課題整理をしたが、私は、真剣に考えないといけない課題はただ一つ、どうやって臼田地区に人を呼びこむかに尽きると思う。これは臼田に限った話ではないし、やれるものならそうしたいと誰もが願っている。
残る佐久病院を街の軸に考えるとするならば、病院には引き続き、地域医療の「聖地」であってほしい。故若月俊一先生は農村医療、地域医療の開拓者と言うべき方だった。食べていくためにみんな必死で、体のケアに気を使う暇がなかった農村に医療を広めたのが当時の地域医療だった。健康志向が高まり、高齢化が進展する現代の地域医療とはなにか。地元の高齢者、病院を訪れる高齢者が笑顔で安心して暮らせる街。医師や病床の数が減ることは避けられないようだが、高齢者が日々楽しく体力を維持できる健康サロンを常設できないか。ちょっとした運動をする講座や、みんなで何かを学ぶ教室が開かれるのもいいと思う。車いすや杖を使う高齢者にとって、病院周辺の歩道はあまりにボコボコだ。病院前の通りは横断歩道を増やす。歩行者の青信号時間をのばす。さらに思い切って、車に徐行を義務付ける。みんなで考えればいいアイデアがたくさん出ると思う。 地域医療の最先端を走り、医師を目指す若手のあこがれの病院、街であって欲しい。
市役所近くに移転する高度救急医療機関はすでに実施設計が始まり、来年度中に着工、平成25年度中には開院というスケジュールが示されている。臼田に残る病院は、実施設計が24年度中から、建設・完成が26~28年度中とまだ計画途上だ。ワークショップの意見は、24年度から市に対する提言が始まるようだ、話し合い次第では実行性のある提言ができると思う。そして提言には市や病院側も真摯に応えてほしい。
佐久病院の今後について、臼田はもちろんだが佐久市全体、そして東信や県全体の人たちにもっと関心をもってもらって議論を深めたい。私はワークショップに参加して皆さんからいただいた意見や自分の考えを発信することでわずかでも貢献できたらと思っている。