1月29日、東大野球部のグランドで、桑田真澄さんに会った。桑田さんは今年から東大野球部の特別コーチをしている。
桑田さんは私にとって特別な存在だ。私の好きな言葉に「試練に挑むことで、道は拓ける」という言葉があるが、桑田さんの著書に出てくる言葉だ。
右ひじにメスを入れたあとに見事な復活をした。
プロ野球の世界に入り、様々な挫折や批判を乗り越えて大エースとなった。
メジャーリーグへの挑戦。
そして、遡れば高校時代から、同級の清原選手のような、大きな体の選手に負けまいと小さな体ながら努力を重ねてきた。
すべてが、野球に打ち込んできた私の憧れであり、目標だった。
私は高校3年生の時に桑田さんに一度会っている。その年の確か5月に、桑田さんはダイビングキャッチで右ひじを強打し、後に手術をすることになるが、会ったのは6月だったと思う。肘痛の原因が分からず、都内の病院に精密検査にきていた。そのとき同じ病院に居合わせた私は、桑田さんのサインを、自分の分と仲間の分と数枚書いていただき、猛ダッシュで部活にいったことを覚えている。今も大切な宝物だ。桑田さんにそのことを話したら、覚えているはずもなかったが、嬉しそうにきいてくれた。
練習をみていても、桑田さんは選手にやさしく話しかける。選手の話を聞こうとする。選手の話をしっかり聞いた上で、自分の考えを静かに話す。選手は見事に惹き込まれていた。
東大にはまじめな選手が多い。反復練習は厭わない。だからトレーニングなどは成果が出る。身長は他の大学のエリートに及ばないが、線の太さは他の大学にも負けていない。ただ、いかんともし難いことが1つある。それは他の大学のレベルの高い野球を、日々の練習で体験できないことだ。そんな話を桑田さんとしていたら、桑田さんは「紅白戦でボクも投げようかな。ボクの球を打ったら自信がつくだろう」と話してくださった。1年間グランドに来てくださるという。今後が楽しみだ。ああ、10年遅く生まれてくればよかった(笑)
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