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東京都知事選 細川さんの演説

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東京都知事選挙が23日に告示された。細川護煕元総理と小泉純一郎元総理の街頭演説を聴いてきた。私なりにまとめると、

・原発を再稼働させず、自然エネルギーへの転換で東京を活性化。

・経済至上主義から、緑・水の豊かな、心豊かな社会へ転換。

・直下型地震への備えのスピードアップ。

・自然、再生エネルギーでオリンピックを成功させる。

・7年後のオリンピックまでに東日本大震災から立ち直って、

 自然エネルギー大国であることを世界に示す。

といった点がポイントのようだ。丁寧な言葉遣いの演説だったが、最後に

「これは原発をどうするかということも含めて、日本の創造をかけた選挙といってもいい。私は自然エネルギーで日本を変えていく。皆さんの先頭に立ってこの選挙を戦い抜いていきたい」といったところは、気持がこもって力強かった。23日夕方、新宿駅前で行われた、細川さんの演説を、ほぼ文字起こししたものを以下に掲載する。

 

 

『私はもう、政治の世界から身を引いて15年ぐらいになるのですが、田舎に引っ込んで本を読んだり、あるいは庭いじりをしたり、絵をかいたり、本当にのんびりと過ごしてまいりました。もう2度と政治の世界には戻りたくない。ドロドロした政治の世界は、私の一番肌に合わないところで、もう、まっぴらだという思いが強かった。しかし、どうも田舎に引っ込んだら、最近の日本の国の様子が、少しおかしいんじゃないか。西郷隆盛さんは、政府に異議を申し立てるということで鹿児島に帰りましたが、私も、なにかやっぱり、ここで立ち上がって異議を申し立てないと、この国はおかしくなってしまうんじゃないか。そういう思いがいたしまして、いろいろな方から、誰か若い人を押したらいいのではないか。しかし、適当な人が見つからない。最後には小泉さんに強く背中を押されて、14日に私は、都知事選に出馬する最終的な決断を致しました。

 

いまごろになって、のんびりした暮らしを投げ捨てて、何でまた出てくるのか。出て行かなきゃいかんのか、私もずいぶん悩みました。しかし、誰も立ち上がらないなら、仕方がない。私も、いっぺん決めた以上は後戻りできません。最善を尽くして、少しでも多くの皆様のご指示をいただいて、なんとしてもこの国を変えていく、この東京から変えていく先頭に立ちたいと思っています。
いま、言いたいことは、大きく分けて3つあるんです。
1つは、いまのこの国の経済社会の在り方、価値観と言ってもいいんですが、いままで日本は大量生産・大量消費、経済成長一本槍で進んできました。しかしこれから、人口学者の話をきくと、50年後には、日本のいまの1億3000万人の人口が9000万人になる。100年後には4000万人になる。1億3000万人が4000万人になる。江戸時代の人口と近い人口になる。そんな状況で、これからもいままでと同じように、あちこちに原発を売り込んだりなんかして、経済成長至上主義で、日本という国はやっていけるのかどうか。私はとても無理だと思います。もっと心豊かな、例えばここらあたりを見渡したって、あんまり緑も少ないんだけれども、緑豊かな、あるいは水も、昔は江戸は水も豊かだったのですが、緑豊かな、心豊かに過ごせるような、そういう東京というものをつくれないものか。東京が1つの日本のモデルとして、そういうものを作っていくことができないだろうかと思います。要するに、経済社会のパラダイムの転換をしていかなければダメだ。これは、文明的な転換といってもいいのかもしれません。価値観の問題です。
もう1つは、平和ということです。平和な社会、あらゆる私たちの日常の生活の中に、静かな心というものが、豊かな心というものが感じられるような国づくりということを、東京から進めていくことはできないだろうか。いま一番心配なことは、直下型地震がいつくるかということです。そのためにいろいろな、こういう駅の整備というものも、避難、帰宅困難者が困らないように整えていかなければなりません。あるいは様々な交通のネットワークのシステムを変えていくところもたくさん出てくるでしょう。拠点となるところに、食糧とか水とか毛布とか、もっと整備をしていかなければならない。いろいろ言われているけれども、しかし実際に、ずいぶんとスピードが遅い。それをもっともっとスピードアップして進めていかなければならないんだと思います。
なによりも私は、こういうところにも再生エネルギーとか自然エネルギーとかをもっと使って、人間に優しい街づくりができないものか。それが1つの街づくりの、静かな心、平和な心というものがもてないかという1つの提案でございますけれども、7年後には、オリンピック・パラリンピックが開催されます。私は当初、まだ東日本でたくさんの人たちが、30万人の人たちが避難しておられる。狭い住宅に避難しておられる。福島からの5万人を超える人たちが、東京に避難しておられる。そういうことを考えますと、この時期にまだ十分な手が打たれないままの状態で、東京でオリンピックをやるということに、ずいぶん気の重いものを感じておりました。しかし、東京でオリンピックが開催されるということが決まってからは、決まった以上は、これは、むしろ、いい機会だと発想を転換して、この7年の間に東京を、東北と協力してやっていける素晴らしい形のものにできないか。再生エネルギーとか自然エネルギーとかを活用して、エコシティーといいますか、もっと活力のある東京を発信していく。世界に示していく。自然エネルギーというものを、この東京からつくっていく1つのきっかけにできないだろうかということを考えて、このオリンピック・パラリンピックというものを、ぜひ成功にむかって取り組んでいきたい。
それからもう1つの問題は、大きな争点になるのは、何といっても原発の問題です。いま福島の事故は終わったのかどうなのか。もちろん終わってはいません。垂れ流しはまだ続いている。そして、4号機のたくさん燃料棒の入ったタンクがいつ、大きな揺れがあったら倒壊するかもわからない。そういう危険もある。もし倒壊したら、30メートルぐらいの高さにあるわけですが、それが倒壊したら、たいへんな火災になるだろう。そんなことは決してあってほしくないですが、広島の原爆の1万4000発分の、おそらく放射能が飛び出るのではないかという識者もおりますから、これがもし、万一のことがあったら、日本だけじゃなくアジアも世界も、みな打撃を受けることになりかねない、本当に心配な話です。福島の事故のことは、もう早くも忘れかけられているところもある。私はいま福島に、がれきを積んで木を植えにいく作業を、東日本300キロに9000万本を植えていくという、がれきを活かして緑の森をつくるというプロジェクトに参加をしていますが、それで福島や東日本の方に出かけていっても、本当にみなさん大変な状態です。ですから、そういう状況がまたおこらないようにしなくちゃならない。しかし、考えてみると、東京周辺には静岡の浜岡もあれば、あるいは茨城の東海第二発電所、あるいは新潟の柏崎刈羽発電所もあります。みんな100キロ200キロのところにあるわけですから、もしそういうところでまた事故が起こったら、本当に悲惨なことになりかねないです。数日前に、外国の有名な科学者が出した報告書を読みました。福島の影響かどうか分からないけれど、北極海の、アラスカの方とか、いろいろなところで、世界中のといってもいいぐらい広範囲にわたって、例えばシロクマやアザラシが大量死している。魚も浮き上がっている。それは福島の影響ではないかと、暗に、そういっているような話もあるんですが、それはかわかりませんが、そういったことをいっている世界の有名な科学者がずいぶんおられるということは、本当にこれは考えなければ、深刻に考えなければならないことだと思います。そういう中で政府は最近、原発の再稼働を打ち出しました。私は、まだ、なんの収束もできていない、事故が収束できていない状況の中で、再稼働するなんてとんでもない。私はその話をきいて最終的に、この選挙に私自身が決意を固めて出馬しなければだめだ。そういう強い気持ちになった次第であります。これから、いままで原発に頼ってきた日本のエネルギーというものを、いま、世界の、ヨーロッパの先進的な国の潮流ですが、自然エネルギー、再生エネルギーに変えていく。ドイツとかオーストリアとか、そういうところでは、電源の30%あまりをそうした自然エネルギー、再生エネルギーに依存しているぐらいの活性化が進んでいる。私たちは、いま現在原発はすべて止まっているわけであります。再稼働をしないようにして、原発をゼロにしたままで、そうした新しいエネルギーによって日本の活性化を図っていく。ドイツではこの6年間に原発をやめて再生エネルギーに転換して、6万人もの雇用が増えたと言われています。日本には十分にそうした資源もあります。地熱もあれば、バイオマスも、いろいろなものがあるでしょう。そうしたものを使って、東京でもそうしたエネルギーを活用して、オリンピックでも、例えば宿舎、宿泊施設にしても、あるいは競技場施設にしても、再生エネルギー、自然エネルギーというものを活用して、オリンピックをやっていくことが私はできると思いますし、とにかく、この機会に、いま、原発ゼロを鮮明にして、そういう方向に舵を切っていくことが、これからの日本にとって極めて重要だと思っているところです。
東京の知事選挙は原発は関係ないという方がおられることは、とんでもない。福島の事故の後、東京の一部では水が止まり、電気が止まり、下町の工場の方たちは本当に苦労をされました。お年寄りの方たちもペットボトルが配られて、ずいぶん長い間水が飲めずに苦労された。それが東京の問題じゃないとどうして言えるのか。とんでもないことだと思います。東京がもしどこかの原発で事故があったならばとんでもないことになる。東京の知事の第一の仕事は何か、第一の任務は何か。それは都民の命と暮らしを守るということです。いろんな問題がある。お年寄りの施設とか住宅とか、これを充実させなければならないことは当然であります。待機児童をゼロにすることも、4年間でゼロにするという約束を私はしておりますが、あるいは、水と緑を、もっとうるおい豊かな街にしていくということについても小泉さんと話した時に、日本橋の上にある高速道路を地下に入れて、もっと、江戸の街のような風情ある街づくりができないものか、そういうのも夢があっていいという話をしたところですが、街づくりについても、もっともっと潤いのある、世界の東京として恥ずかしくない首都づくりを目指していきたいと思っているところです。
今度の選挙はそういう意味で、東京だけの問題ではありません。日本全国の問題でもありますし、これは世界に大きな影響を与える選挙でもあります。日本が自然エネルギー大国として世界に打って出る。新しい日本の姿を見せていくためにも日本が災害から、東日本の災害から立ち上がって、こんな形に変わってきているということを、7年後に世界の人たちに示すことができるならば、それは何よりもすばらしいオリンピックになるでしょう。そういうつもりで私は様々な政策に取り組んでいきたいと思っています。これは原発をどうするかということも含めて、日本の創造をかけた選挙といってもいい。私は自然エネルギーで日本を変えていく。皆さんの先頭に立ってこの選挙を戦い抜いていきたいと思います。これは厳しい戦いですが、一人でも多くの知人友人の方々に声をかけて頂いて、この思いが伝わるように、お声をかけて頂ければ幸いです。よろしくお願いします。ありがとうございました』